ふわふわの手触り、こだわりのデザイン、配色。
マフォンの生地にはたくさんの人の思い、技術が詰まっています。
そんなマフォンの布を作る人たちの思いを知ってほしい。
マフォンに関わる人たちをインタビュー形式で紹介するシリーズ。
今回は、「この人がいなければ、マフォンのこだわりのデザインは生まれない」、小林デザイナー編です。
Q 小林デザイナーとマフォンの出会いは?
小林デザイナー:10年ほど前、友人を通じて伊藤部長と出会い、リバーシブルジャガードニットのことを知りました。
その時、はじめてリバーシブルジャガードニットに触れたのですが、
「こんないい生地があるんだ!」と素材の良さに感動したことを今でも覚えています。
6年ほど前から、デザイナーとして本格的に関わるようになりました。
Q どんなものからインスピレーションを受けてデザインをしますか。また、デザインするときに気をつけていることなどありますか。
休みの日は本屋や図書館に出かけて、雑誌や本を眺めます。病院の待合室などで、普段は自分が読まない雑誌を読むようにしたりもしますね。
あとは、街へ出たときに、パッと目がとまったもの、通り過ぎても、もう一度見てしまうものがある時、なぜそれが目に飛び込んでくるのか、なぜ印象に残るのか、なぜ自分が二度見てしまったのか、を分析するように考えています。
街ですれ違う人の服の色やカバンの形といったファッションだけでなく、面白い窓の形や、長方形じゃないビル、車のテールランプとか、対象は本当にさまざまですね。
Q 流行は意識しますか?
私、誰も手にしたことのないものを提供したいんです。
だから、流行はあまり意識しませんし、今年の流行色が何か、みたいなことも、全くチェックしないです。
流行ってたくさんの人が支持するもの。それは言い換えれば、すぐに手に入るものですよね。
そうじゃなく、どこにも同じものがないもの、マフォンでしかないものを作っていきたいんです。
それに、流行があると、おなかいっぱいになっちゃうスピードも早いと思うんです。1年たっても、2年たっても、「私、これ好きだな」といってもらえるものでありたい。
たとえば、サーカス柄は、初期にデザインしたものですが、今でも販売すれば売れますし、私も大好きなデザインです。こんな生地を作っていきたいんです。
Q テキスタイルデザインの勉強はどこかでしたのですか。
いいえ、ただ、大学は美術大学(染色専攻)に通いました。
もともとは、絵よりも、写真が好きでしたね(笑)。
でも、布は昔から大好きで。祖母が洋裁、和裁をやっていたこともあってか、チクチクと針仕事をするのが好きで、刺繍をしたり、と子供の頃から手芸は身近にありました。
Q どんな思いでマフォンの布作りをしていますか。
いつも、もう、雑巾を力いっぱい、絞っているような、残りわずかの歯磨き粉を絞っているような、そんな気持ちで…とにかく出し残したことはないかとアイデアを絞り出しています。アイデアを一滴残らず、生地に反映させたいんです!
そうすると、生地が編み上がったときは、いつも想像以上に可愛い生地が仕上がるんです。その快感が忘れられなくて(笑)。いつも自分が持っているすべてを注ぎ込んでいます。
自分が注ぎ込んだものが何倍も心躍らせるものになってできあがってくる、このやりがいがある仕事ができることに感謝しています。
Q マフォンの生地をデザインしていて、嬉しかったことは。
イベントなど店頭で販売した時、お客さまがマフォンの生地で作った服を着て来てくださることですね。皆さんセンスがいいし、布を買うときの気持ち、作っている時の気持ち、できあがった感想を話して下さると本当に嬉しい。私もできる限り作っていきたいのですが、やはり一人の力には限界があります。だから、お客さんが形にして下さることが、本当に嬉しいんです。
Q 小林さんにとって、ターニングポイントになったような生地はありますか。
ダリア柄でしょうか。パターンショップのpetit etalageさんとのコラボ生地なのですが、世代を問わず、どんな方でも好きと言って下さる柄を目指しました。柄の濃淡のバランスがとても難しくて、何度も何度もデザインの修正をしました。
修正している間に色々とやったことが、今も生きています。大変だっただけに、マフォンの人気柄(2016年人気生地BEST3をご覧下さい)になって、とても嬉しいです。
Q BBSやinstagramでお客さんの作品を見ることはありますか?
もちろん。子ども服づくりをされている方が多いですよね。
お母さんやおばあさんが、お子さん、お孫さんに作った服って、愛情がぎゅっと一杯つまっているし、赤ちゃんや子どもは何を着てもかわいいから、生地が服を引き立てている割合って20%くらいかな、とも思います(笑)。
でも大人服は、かわいさよりも、その人の個性を映し出す服であることが大切だと思うんです。その方にぴったりの服を作られているのを見ると、布もより美しく見えて、お客さまのお手伝いができたかな、と感じることができて嬉しいですね。
Q マフォンで働く前は、アパレル店で店長を6年間やっていた経験もあるそうですが、その経験が今の仕事に生きることはありますか。
店長をやっているときは、本当に自分もいいと思うものをお客さまにおすすめして、それにお客さまも共感してくれて、ファンになってくれて、ということの繰り返しで。
「良さを人に伝える」ことの素晴らしさ、「自分の仕事が、人の役に立ったんだ」と実感させてもらえた6年間でした。
お客さまが何にお金を使うか、考えると、「満足感」につきる、ということも学びました。
その時の、「自分がいいと思うものを人に伝える楽しさ」は今も変わっていませんし、お客さまに満足してもらえる布を、といつも考えています。
Q これからどんな生地作りをしていきたいですか。
子ども服にぴったりの綿100%素材、ふわふわの肌触りで始まったマフォンですが、これからは大人の日常でも活かせる布を提案していきたいですね。
私たちの世代は、ハイヒールをはいて、肩パッドを入れて、など『「かっちり」したのが、おしゃれ』という価値観で育ってきたのですが、でもこれからは、自分も着心地よく、周りからもいいねと言われるファッションが求められていくと思うんです。そんな大人の女性に向けた布を提案していけたらと考えています。
それから、マフォンのお客さまには、ロックミシンを持っていらっしゃる方が多いと思うのですが、ミシンを使わない人にも、たとえばボンドで布をくっつけるだけで、こんな楽しいものができるよ、ということも伝えていきたいです。
(お仕事中の小林デザイナー。毎日、マフォンの布を身につけて出勤するようにしているそうです)
Q 最後に、小林デザイナーおすすめの一枚を教えてください。
私、マニアックな柄が好きなんですよ(笑)。このマラケシュ柄、大好きなんです。
大人服にもぴったりだと思うので、この布に心惹かれた方に是非仕立ててもらい、着こなしていただきたいです!
リバーシブルジャガードニット生地 マラケッシュ柄 色:ネイビー/アーモンド
広げると、細かな模様が絶え間なく続き、異国情緒あふれる生地です。
ちなみに、小林デザイナーはアフリカの布も大好き。私物バッグからちらりと見え隠れしています。
好きな映画はフランス映画「ロシュフォールの恋人たち」。「音楽、衣装、時代、すべて好き!」だそうです。
シャトンやイベールなど、マフォンのデザインにはフランス語が似合うものも多いのにも納得です。
旅行も大好きで、ヨーロッパを一人旅したこともあるそう。「違う世界を見るのが好き」という小林デザイナー。その世界観が布に反映されているのかもしれません。
小林デザイナーは感動を人に伝えるのが上手。話していても、とても楽しく、ついつい話しすぎてしまうことも・・・。あるとき、小林デザイナーから「ワクワクがとまらない~」というメッセージをもらって、思わず携帯をみながら笑ってしまったこともあります。
少女のような心とひたむきさ。常に新しいものを追い求め、全力で満足いくものを作りだそうとする小林デザイナー。そんな小林デザイナーの生み出す布に、これからもご期待下さい!!
マフォンを作る人たち、伊藤部長編はこちらです!