ふわふわの手触り、こだわりのデザイン、配色。
マフォンの生地にはたくさんの人の思い、技術が詰まっています。
そんなマフォンの布を作る人たちの思いを知ってほしい。
マフォンに関わる人たちをインタビュー形式で紹介するシリーズ。
今回は、「この人がいなければ、マフォンのふわふわの布は編めない」。
丸安ニットの山田耕一工場長です。
Q.工場長が丸安ニットで働くことになった経緯を教えてください。
A.中学校を卒業後、鹿児島県指宿から集団就職で名古屋に来ました。
名古屋を選んだのは、すでに兄や姉がいたからですね。
最初はガラス屋に勤めたのですが、あまり合わず、姉の紹介で丸安ニットに移りました。
それ以来、50年以上、ここで勤めています。
Q.工場長が働き始めた当初はどんな生地を編んでいたのでしょうか?
A.そのころはもっと人が多くてね。最初は編み立て機で、肌着用の生地なんかを編んでた。
機械を動かすのは自分に合っていたかもしれんね。
自分で考えながら機械を動かして、失敗してはまた考えて。糸が切れたら、そのつど繋いで。
20代になると、柄編み機というのが出てきて。
図案を描いて、手で編む、編まないを埋めていく。
そのあと、パターンドラムというのが出てきて、大きな柄も編めるようになった。
そのまた後に今も使っているコンピューターを使った機械が出てきて。
柄を紙テープにパンチングして読み取っていたのが、フロッピーになって、今はUSBを使っているね。
フロッピーになってから、かなり楽になったよ。
Q.機械を動かすのが好き、ということですが、子供のころから工作などは好きだったんですか?
A.手先は器用なほうだったね。紙飛行機はもちろん、竹切って笛作ったり。
何でも自分で作ってた。
Q.ニット生地を編む面白さは?
A.自分の考えたものが形になることかな。
絵や写真を見せてもらって、「こういう生地がほしい」って言われるの。
それを「こうやればできるだろう」と判断して、作る。大体の柄は編めると思うよ。
トライアングルブロックなんかも、
表にこの糸が出たら、裏に残り2色出せばできるだろう、ということを考えて、
作った布ですね。
(トライアングルブロックなど切替ニットについてはこちら→ニットのお話~ベタ平って?切替ニットって?~)
Q.マフォンの布はなんでこんなにふわふわなんですか?
A.二枚の天竺ニットあわせているからね。
柄に合わせて、千本以上の針から、どの針を出すか、考えて、編む。
色もきれいなんだよね。
Q.マフォンとのかかわりは。
A.10年前に、子供や犬の服を作るから、「できるだけ小さい柄がほしい」と言われて。
今までのことを考えると、編むのはそんなに難しくなかった。
機械みながら、「この布、作る人の所で、どんなもんになっとるのかなぁ」と思ったりもするよ。
そういえば、自分で作った生地をTVでみたりすることもあるね。
自分で編んだ柄だから、すぐわかる。
芸能人が着てたりすると、家族に教えたりする(笑)。
デパートやスーパー巡りなんかしてる時、売り場で自分の編んだ生地を見つけることもあるよ。「こんな服になったんだ」とうれしいね。
Q.ニットを編むのに、大変な所は。
A.傷が出たときだね。編み方に問題があったのか、柄に問題があったのか。
試行錯誤して、依頼通りの生地が編めるように原因を追究する。
Q.工場長の趣味は?
A.昔は映画、日活映画とか「ガンマン」とか、SFものとか、映画見るの好きだったね。
昔はアイススケートやったりもしたなぁ。
今はゴルフに行くくらいです(笑)
淡々と話す山田工場長。
「仕事の楽しさは?」と聞くと
「あんまり楽しいと思ってやったことはないね。これが自分の仕事と割り切ってるから」。
その姿は「昔ながらの職人」という言葉がぴったり。
そして、内に秘めた仕事への誇りが感じられます。
でもマフォンスタッフに言わせると
「工場長は、東大にもはいれる頭脳の持ち主」。
針を右に出すか、左に出すかでもキズが出るか出ないかが変わるニット生地。
他の人がキズが出るから、編めないという生地でも、
工場長はどこに問題があるのか考え続け、実際に編んでしまうんです。
「工場長の知識、技術、経験がなければ、編めない生地はたくさんある」と皆が信頼を寄せています。
繊維業界も工場の海外移転が進み、工場長のような熟練の技術を持った職人さんたちは
少なくなりつつあります。
そんな中でも、マフォン、また親会社丸安ニットは、名古屋市西区に工場を構え、
後進の育成にも力を入れています。
工場でも、工場長が若手によく指導しているところが見られます。
工場長はじめ、ニット職人たちの手によって生まれるマフォンのふわふわの生地。
職人たちの思いがお客様に少しでも伝わればうれしいです。
マフォンの布を作る人たち、
伊藤部長編はこちら
小林デザイナー編はこちら
です。
たくさん人の手を通じて、大切に大切に編まれ、お客様の手元にお届けするマフォンの布。
ご愛着を持っていただければ幸いです。
今日も、読んでいただき、ありがとうございました。